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パラサイト 半地下の家族
感想
面白かった。興奮した。
なぜ面白いのか
パラサイトは、奇想天外なサスペンス映画と言える。
サスペンスとはその言葉のとおり物語の成り行きを"宙づり"にすることで持続を生み、観るものを魅了する映画だ。
物語的にこの宙づりは、観客だけが知っていて映画内の登場人物が知らない物事が次の展開を感じさせながらもまだそれが語られない状態、あたりを意味していると思う。
サスペンスというからには犯罪を行う時のようにたいていは何かしらの計画・意図が存在する。パラサイトではそのタイトル通り大豪邸に"寄生"するという計画"のようなもの"がある。
その計画には騙すという行為が存在していて、これは一方が知っていて他方は知らないという構図を生む。その非対称性がサスペンスを機能させている。
寄生というアイデアだけでもまぁまぁ面白くなる。でもそれだけでは平凡な作品に終わっていたのではないかと思う。
そこで、この映画で描かれるのは、以下の三つに大別できるとし、この物語がどうして面白くなったかを考えた。
- 登場人物の背景
- 計画の進行
- 宙づり
描写に沿って述べると、以下のようになる。
1は、半地下で暮らすキム一家の状況や高台の大豪邸に住むパク一家の描写。
2は、最初に入ったギウがギジョンを紹介するところから始まる寄生の進行。ここは見ていてパク一家の描写も兼ねており非常に効率的だが、ギジョンがタクシーにパンツを置いていくことで一気にギアが入るシーンにシームレスに繋がっていく。奥さんのヨンギョがするする騙されていくことで物語が複雑に絡み合い、それと同時にサスペンスの構図が積み上がっていく。
最後の家政婦の入れ替えは目を見張るものがある。すでにサスペンスが機能し出しているところから最後の砦である家政婦のムングァンを崩すシーンは、この複雑な状況でキム一家が以心伝心というように連携し、言葉で計画が語られるのと並行して決定的な瞬間だけをつなげていく。最後に父ギテクがゴミ箱からティッシュを拾いその場でケチャップ(?)をつけて階段から上がってくるヨンギョにそれを見せるシーンは気持ちいいほどに軽快だった。
3は、ギジョンの仕掛けあたりからどんどん少しずつ存在したが、ピークは寄生先で宴会を行うシーンだろう。キャンプで家を空けるから帰ってこないとは言いつつも、もしも帰ってきたらというのはやはり想像してしまって、予想通りにチャイムがなる。しかし、ここで現れたのは元の家政婦ムングァンで、倉庫から続く地下とそこに潜んでいるムングァンの夫の存在が明らかになる。宴会をしていたことを知られたくないキム一家はこれにうまく対処できず、当初の計画がより困難なものになることで宙づりの緊張感が引き立てられる。さらにこのどうしようもない事態で無計画というサスペンスが加わった。
こうして、もはや混乱と言える状況が出来上がった。そこでは何が起きてもおかしくない。
サスペンスの緊張を保ちつつ状況がどんどん深まっていく、それがこの映画の面白さではないか。
軽快なつなぎと緊張の持続があったせいか映画はあっという間だった。
P.S.
この切り返しが好き。


注
画像は予告動画より